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■烏(カラス)は、鴉とも記しますが、白川氏の『字統』によれば後者はハシブトガラスで、その音は鳴き声からきており、雅ともともと同じとか。そういえばその旁(つくり)は鷹という字にも見られ、鳥と同じらしい。進という字も鳥占に関わる字であるそうです。 ■さて、前回の記事の最後に記しましたように『冬の旅』第1曲に歌われた伴連れとなるはずの「月影」。それがあとの詩にいっさい出てこないのは、これはミュラーの詩連がそれぞれにキーワードを置いているからで、別段とりたてて騒ぐことでもないのでしょう。しかし、私はその月影をわすれられないのです。 例えばいくつもの街灯がいくつもの影を落とすことは誰しもご存知でしょう。しかしそのとき満月なら、必ずその月影があるはずです。 深夜の雪のふりつもった暗い森の中での月の光の明るさに驚いたことがあります。太陽のつくる影と異なり、月影にはどこか鈴のような聞こえない音が鳴っているように思ったものです。 さて、それはさておき、妄想を繰りひろげましょう。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ■万葉集巻一、四八。 東の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ またまた万葉集を引き出してくるとは、しかもシューベルトの『冬の旅』で! トンデモ論かもしれません。しかし私は書きながら探っているのです。普遍的なものを。 さて、続けます。その歌は、太陽暦では西暦692年(持統六年)12月31日午前5時50分ではないか、と白川氏の『初期万葉集』で紹介されています。でもそれはどうでもよろしい。 こういうことは他にも、ガリラヤのナザレのイエスの誕生はコンピューターの計算によれば、紀元6年5月であり、そこで「東方の博士たち」の見た輝く星が木星と金星が重なり「異彩を放った」(『聖書時代史 新約篇』佐藤研 岩波現代文庫)などなどにも見られる検証のあり方です。 ■そうした現代科学の成果に頼ろうとは思いませんが、夜明け前に行われるその祈りが、ふと旅立つ『冬の旅』の青年の姿に重なったのです。これは専門の方々には笑うほかないことでしょうが。 ※因みに「冬」「雪」「門」などなど漢字でその象徴を探ることは遊びながら可能であります。 しかし問題はその「象徴」なるもの。 ■白川静氏はこう言っています。 「漢字は古代的な一種の象徴画にほかならない」と。(『漢字百話』) では、そこに見る象徴とは何なのでしょう。 嗚呼、なかなかシューベルトの第15曲「烏」に入れないでいます。まずは象徴について少しだけでも考えたいので。 |
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